頭痛と眼(2007年1月25日)

頭痛のある方で、原因がはっきりしない場合に、緑内障などなにか 眼が原因で起こっているのではないかと心配し受診される方がしばしば あります、頭痛とともに視野が欠けたり、キラキラ光るものが見えたりすると、 眼が原因ではないかと思うのも無理ありません。今回は一般的な頭痛の症状と 眼科との関連で整理してみました。

頭痛は大きく機能性頭痛と症候性頭痛に分かれます

1)機能性頭痛や慢性頭痛は発作が起こっているとき以外は無症状。
診察上も検査上も異常は見出されない。
診断確定は病歴と除外診断。

2)機能性頭痛でも非常に強い耐え難い頭痛を訴えることがある。
クモ膜下出血や髄膜炎では極めて激しい頭痛を訴えるが
慢性硬膜下血腫、脳外傷では重篤であっても頭痛をあまり訴えない ことがある。
それで、頭痛の強さと疾患の重篤度は必ずしも対応しない。

3)機能性頭痛か症候性頭痛か、急性か亜急性か慢性化を判断 することが診断に重要。

注:機能性とは頭の筋肉が緊張したり、頭の血管が痙攣して痛む ような場合。
症候性は動脈瘤とか脳腫瘍など頭に何か頭痛の 原因になるものがある場合のことをさします。

正しい診断を得るためには、問診の際に適切に答える事が、
患者側には求められ、誤診を防ぐことにもなります。

A)片頭痛では若い女性に多く、緊張性頭痛は中年以降に多いなど
年齢、性、人種により頻度の高い疾患があります。

B)いつ、どのように始まったかは、症候性頭痛では特に大切
一般には急性や亜急性に始まった頭痛
たとえば、 突然金属バットで頭を殴られたような頭痛が突発するのは クモ膜下出血。
炎症症状とともに徐々に強まる頭痛は 髄膜炎。
というように、重篤で緊急治療を必要とする疾患 が多いといわれています。
一方、機能性頭痛の片頭痛や緊張性頭痛は長年にわたり 同じような頭痛発作が繰り返し出没します。

C)痛みの場所と痛み方。
片頭痛では片側が拍動性に痛みますが、緊張性では通常
頭全体が締めつけられるように痛みます。

D)持続時間、頻度、日内変動
片頭痛は一年に数回の頻度で数日間続く。
緊張性頭痛は年中、頭痛が続き、強くなったり軽くなったりする。
群発頭痛は夜の決まった時間帯に起こり、連続して続く。
脳腫瘍の頭痛は明方に最も強く、しばしば嘔吐を伴う。

E)前兆と随伴症状
視覚・視野異常(閃輝暗点)に続く片側の拍動性頭痛は片頭痛。
項部硬直、髄膜刺激症状、発熱はクモ膜下出血や髄膜炎。
片麻痺や神経症状は脳腫瘍や脳出血。
充血、瞳孔散大、視力低下、眼圧上昇は緑内障
鼻閉、鼻汁は耳鼻科疾患など。

F)頭痛の誘引
・ストレスやアルコールは最も頻度が高い。
・血管拡張作用のある食品。
アルコール、亜硝酸塩を含むハム、ソーセージ、サラミなど、 チラミンを含むチーズ
・血管収縮物質(カフェインなど)を中断したとき。
コーヒー常用者の中断。
・グルタミン酸ソーダ(味の素)の大量摂取で 激しい頭痛(チャイナレストラン症候群)。
・血管拡張作用薬
カルシウム拮抗薬(降圧薬)、ニトログリセリン
・血管収縮薬の中断

頭痛の原因には、内科、脳外科、耳鼻科、眼科にまたがっております。 ところがホームページを見ても、大抵眼科は眼科医の立場で、脳外科は 脳外科医の立場でとそれぞれの立場で書かれており混乱することも多々あります。 そこで、当ホームページでは今回敢えて、内科医の書いた頭痛の解説書を 門外漢の眼科医が読んで理解した範囲で眼科の患者さん向けに平易な形で 書いてみました。専門的なことはほとんど省き、まず自分の症状から第一番に 自分は眼科へ行くべきか、それとも他科へ行くべきかの判断の一助となれば 幸甚です。