コロナ禍

(2021年9月30日医師会広報掲載)

趣味としてのピアノ(その31)「続コロナ禍」 

山本眼科 山本起義

2020年2月に始まった「コロナ禍」のあと2021年はワクチン接種にに振り回された一年でした。
 医師会の先生方のご尽力により、ワクチン接種をメディカルセンターでして頂くことができました。誠に有難うございました。
おかげ様で昨年の春の検診と違い、2021年の健診では、私が学校のクラスターの原因には多分ならないであろうと、安心しながら、 小学校と中学校の検診を済ますことができました。

しかし、2021年のオリンピック、パラリンピックが終了して、秋になっても、なお、コロナ禍が続いているとは思いもよりませんでした。第5波の新型コロナの蔓延をうけて、 先日までは、各保育所でクラスターが発生しました。その後、国民の8割近くのワクチンの接種が済んだ現在、デルタ株は、一旦収束したものの、昨年の若年者に感染しにくいというのとは打って変わり、 感染力がつよく、若年者に猛威を振るう可能性が危惧される、オミクロン株の脅威が取りざたされています。

コロナ禍のピアノサークルの例会



2019年5月は令和元年(令和は5月から始まった)を祝う土生町サロン(拙宅)の例会で、池添内科の御令室様が用意してくださった、令和のファイルで記念写真(写真上)をとりました。 後列にはルクアの眼科の竹山院長先生も写っています。しかし、翌年4月11日に緊急事態宣言の発出があり、食料品以外のお店は休業、日本眼科学会中止、5月に連休まで学校は休み、 学校検診も中止で、公的なホールが軒並み使用禁止で、その後予定していた拙宅での例会は中止せざるを得ませんでした。  結局、2020年3月を最後に毎月あった例会が再開したのは2020年7月で、オリンピックも延期となり、その後の例会の開催の見通しが立たず、 結局2021の3月でピアノサークル自体は解散がきまりました。

ただ、すでに2021年11月まで部屋は予約してあり、違約金をとられるのはもったいないとのことで、 大阪の労働会館の練習室で消化試合をすることになりました。  この時点で、2021年のオリンピックの開催は決まっており、同年8月に非常事態宣言は無いだろうと目論んで、拙宅で例会をすることを了承しておりましたが、 まさか、第5波がきて、緊急事態宣言はだされることは夢にも思いませんでした。しかし、是非開催して欲しいとの熱心な会員の方にお答えして、思い切って開催したのが、下の写真です。

  拙宅でクラスターが発生しては、医師会の先生方にご迷惑がかかるので、今回は一切お知らせせず、PAK会員の方々には、感染防止対策をして、あくまでも自己責任で参加していただく事としました。 ただ、前回都合で2019年の例会に参加出来なかった、兵庫県立大学の鷲津先生、といっても音楽ではなく、摩擦の研究が専門だそうですが、参加したいとのことで、チェロ奏者として参加していただきました。 丁度、会員の田中さんが、チェロの伴奏を練習中とのことで、たまたまですが、チェロとピアノのコラボが実現し、当日は、多彩な音楽談義に花が咲きました。上の記念写真ではマスクを外していますが、 それ以外は感染防止策として、写真下のように全員にマスク着用をしていただきました。


ピアノ販売の低迷に拍車をかけたコロナ禍



 コロナ禍になる前の1995年以降、国内のピアノ販売台数(電子ピアノを除く)は減り続けて、年間1万台を切るのは時間の問題と言われていました。 しかし、東日本大震災の被災地で多くのピアノが壊れ、その買い替え需要が生じたことが主な要因となった2011年は1万8千台と例外的な増加はあったものの、 その後は低迷をつづけていました。静岡県楽器製造協会(浜松市)によると、少子化の影響や、高品質・低価格化が進んでいる電子ピアノを購入する人が増えていることが 販売減少の理由だそうで、コロナの影響ではないのですが、そんな中、とうとう、スタインウェイの老舗、松尾楽器が閉店になりました。

松尾楽器商会



松尾楽器が2020年の12月末でスタインウェイの販売をやめ、それに伴い松尾ホール、スタジオも2021年3月で閉めたそうです。 松尾楽器と云えば日本でのスタインウェイの元日本総代理店であり日本のスタインウェイの普及に多大な貢献をし、 全国のホールへのスタインウェイの納入実績やその技術力も高く評価されていました。しかし1997年にスタインウェイの子会社のスタインウェイジャパンが 設立されてから総代理店の座をスタインウェイジャパンに譲りましたが、その後も日本のスタインウェイの半分以上を販売するスタインウェイの大型専門店でした。

長らく、わたしも松尾楽器でお世話になり、いまでも、調律は松尾楽器の花井さんにして頂いており、PAKの例会で拙宅のピアノの高評価もひとえに花井さんのおかげだと思っています。 花井さんによれば、ピアノのお世話をして頂き懇意にしていた神戸の松尾楽器の店長の高田さんもすでに他界されたそうで、 残念です。私は診療で行けませんでしたが、高田さんには品川のピアノ・セレクションセンターまで家内を案内してもらい、選定の際に色々と助言をしてもらいました。

拙宅に納品されたのが2009年で、すでに12年の歳月がながれ、すっかり時代がかわったことを思い知らされます。花井さんによれば、松尾楽器の先代の社長を引き継いだ現社長でしたが、 後継者がおらず、積極的な経営戦略が立てられなかったのが原因だそうで、スタインウェイ・ジャパンが設立されたときに、松尾楽器から複数の技術者が新会社へうつっていて、その方々により、 新しい技術者が育っているそうです。スタインウェイ側からすれば、技術者の育成が終わった段階で、メーカーによる直接販売に踏み切ったという事かと思われます。

閉店が続く世界のブランド



 すでに、2007年日本ベーゼンドルファーの新大阪ショウルームが、倒産により閉店し、ヤマハ傘下になりました。ついで、新神戸にあったベヒシュタインを取り扱うユーロピアノが関西より撤退、 さらに、神戸にあった松尾楽器が縮小し、西宮北口に移転したのもつかの間、メンテナンスのみを残し関西から撤退、さらに今回は東京の本店も閉鎖になり、試弾は困難になりました。  大阪で、ベーゼンドルファーの試弾は、かつての日本ベーゼンドルファーの技術者がいて、メンテナンスをしている、新大阪のビーテック社、ベヒシュタインの試弾は大阪市中央区瓦屋町に ある株式会社消音ピアノサービスのピアノプラッツ、スタインウェイは、大阪梅田グランフロント北館の島村楽器がよいと思います。なお、ユーロピアノが手放したブランドのザウターも島村楽器が 扱うようになっています。ちなみに、スタインウェイの第二ブランドはボストン、第三ブランドはエセックスピアノですが、エセックスピアノは製造中止になり、いま、島村楽器に残っている在庫がなくなれば、取り扱い中止となります。

発表の場をコロナ禍で失った趣味のピアノ



 確実に、例会を予定通り開催できているピアノサークルは多分ないのではないかと思います。そんな中、唯一発表出来るのがYouTubeです。なにぶんにも素人故、稚拙な演奏はご容赦頂き、 YouTubeで「kysyama」で検索すると私のチャンネルが出ますので、お暇なときには是非ご視聴頂きたくご案内申し上げます。